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インサート成形と２色成形の違いとは？

樹脂製品のインサート成形とは、1材質目を成形した製品を金型から取り出し、もう１面の金型にインサートし、２材質目を射出成形して最終製品を製作する方法です。２色成形品に対して出来上がったものは同様に見えますが、中身は細かな違いがあります。ここではインサート成形と２色成形の違いを説明いたします。

インサート成形と２色成形の違い

工法	インサート成形	２色成形
品質	△	○
金型コスト	○	△
製品コスト	製品による	製品による
生産ロット	小ロット向き	大ロット向き
省人化	△	○

それぞれの比較項目について、以下にご説明いたします。

製品品質

インサート成形では、２次成形の金型にインサートするときに傷がつく恐れがあります。さらに、どうしても、製品と金型にクリアランスが生じますので、製品形状によっては、２次材質の見切りが難しく、“バリ”や“カブリ”の発生率が高くなります。

また、1次成形品が常温に冷えてからインサートしますので、１次、２次の収縮率の差によっては変形することが考えられます。これは2色成形でも起こることですが、２色成形では1次の金型温度を調節することによって、２次成形時における樹脂温度差を縮めることにより、この変形は抑えられる方向となります。

また、樹脂どうしの融着に関しても、１次成形品が冷えていることにより、インサート成形の方が不利となります。

このように製品品質の面からはインサート成形の方が不利と言えます。

コスト

金型コスト

金型はインサート成形では２面、２色成形では１面必要です。２面必要なものの、インサート成形では金型構造が比較的簡単になることが多いため、

インサート成形２面のコスト　＜　２色成形１面のコスト　となることも往々にしてあります。

製品コスト

これは一概に言えませんが、インサート成形では通常、１材質目の製品をインサートするために、２材質目の成形時に成形機に人が一人つく必要があります。

それに比べて、ほとんどの２色成形は無人成形を想定して金型が作成されるので、人件費の面で有利です。しかし、インサートの成形機（通常単色成形機）は2回成形しても、それぞれの機械チャージは２色成形機より安く、この点は有利とも言えます。

それぞれに有利、不利があり、トータルコストは製品の内容によると言えます。

生産ロット

2色成形は金型設定の段取り時間が通常の単色成形より長くなります。しかし、一旦設定してしまえば、ほぼ自動成形が連続で可能ですので、大ロット向きだと言えます。小ロットの場合であれば、インサート成形が向いています。どうしても、大ロットで、インサート成形ということであれば、人件費の面からは海外生産の方が適していると言えます。

省人化

樹脂射出成形は一度段取りの設定をするとほぼ自動で連続成形が可能なことがメリットになる成形方法です。コストの面でも述べましたがインサート成形は２材質目の成形時に人が必ずつく必要が出てきます。一方で２色成形は１度設定してしまえば自動で連続成形が可能になるので、成形時に必要な人員としては２色成形のほうが有利と言えます。このように２色成形は省人化に寄与する成形方法であり、これは成形メーカーだけのメリットではなく、人材が確保できないためにお客様の希望の納期に対応できない、といった状況も回避しやすく、お客様にもメリットのある成形方法と言えます。