技術情報

プラスチック・樹脂製品の組立コストを削減する「工法転換」のポイント

  • 材料
  • 金型
  • 成形

プラスチック製品のコストダウンについて

プラスチック製品のコストダウンにはいくつかの手法があり、適切な手法を取り入れることは最終製品の商品力(=価格競争力)に大きな影響を与えます。昨今インフレが国内でも話題となっていますが、製品への価格転嫁による利益創出と、日本のものづくりの根幹である工程集約・工法転換によるコストダウンによる価格競争力向上は、今後も考えていかなければなりません。

そこで、今回は、プラスチック製品に関するコストダウンのポイントをお伝えいたします。

目先の利益だけを追うのではなく、会社の将来を見据えた大切な取り組みです。だからこそ、一時的な値下げ交渉だけでなく、材料の選び方、製品の設計、作り方の工夫など、製品が作られてから使われなくなるまでの全体を通して、根本的な見直しを行うことが大切なのです。

よくあるコストダウン方法

多くの企業が試みる、一般的なコストダウン方法には、次のようなものがあります。しかし、それぞれに注意点や限界があります。

材料費を安くする
製品コストの大部分を占める材料費を抑えるのは、基本中の基本です。より安い材料に変更したり、リサイクル材を使ったりします。

金型(かながた)の費用を抑える
プラスチック製品を作るには、「金型」が必要です。この金型を作る初期費用を抑えるため、金型の構造を簡単にしたり、海外の安いメーカーに頼んだりします。

加工費の値下げをお願いする
部品の製造を依頼している協力会社に、部品1つあたりの値段を下げてもらうよう直接交渉する方法です。

上記、3点の方法は製品を製造する上での”交渉”によるコストダウンであり、本質的な付加価値を考えずに行うコスト競争の方法であると言えます。一方で当社からご提案するコストダウン方法は付加価値を高める方法です。以下では当社が得意としている2色成形による、プラスチック製品の工法転換に関する提案をお伝えいたします。

「2色成形」への工法転換でコストを根本から削減

当社が、プラスチック製品のコストダウンを検討したい皆様に、ご提案しているのが「2色成形(にしょくせいけい)」技術を用いた工法転換・工程集約です。本工法は、コスト削減と品質アップを同時に実現できる、画期的な方法です。

>>2色成形とは

「2色成形」の最大の強みは、これまでバラバラだった複数の部品を、射出成形の段階で一体化して製造することができる点にあります。これにより、得られるメリットは、3つあります。

メリット1:組立コストの削減
一番のメリットは、ネジで留めたり、接着剤でくっつけたりする「組立作業」一切なくなることです。これにより、組立にかかっていた人件費や設備費を根本から削減できます。

メリット2:管理の手間とコストが減る
複数部品が一体となるため、部品ごとに必要だった在庫の管理や発注の手間がなくなります。また、部品の組み立て段階で製品個数にずれがあり、組立工程が止まるといったチョコ停も防止することができ、「目に見えないコスト」も大幅に削減することができます。

メリット3:品質が安定
2種類以上のプラスチックが射出成形工程の段階で、金型内で一体化されるため、精度の高い部品が出来上がります。昨今、ロボットによる組立工程の自動化も検討されていますが、2色成形を活用した一体成形は品質の安定性とともに、上記のコスト削減にもつながるメリットの高い工法であると言えます。

大型2色成形.comの2色成形の特徴とは

50mm角程度の小型部品~500mm角の大型部品や1,000mmの長尺部品まで幅広く対応

当社は、50mm角程度の小型部品から、500mm角の大型部品や1,000mmの長尺部品まで幅広く対応できます。特に、小型精密機械の部品などで必要とされる±0.03~0.05mmの寸法精度や、1000分台での精度要求にも応えられる技術力を備えています。
複雑な形状や高い寸法精度が求められる部品でも、2色成形技術で安定した品質を提供できる点が強みです。さらに、異なる素材の特性を活かした一体成形により、信頼性の高い小型部品が必要な医療機器、精密機械・電子機器分野のニーズにも対応します。

また、500mm角の大型部品や1,000mmの長尺部品の2色成形にも対応しており、豊富な実績がございます。

大型部品の樹脂成形には、製品サイズに応じた高い型締め力を持つ成形機が不可欠です。単色成形では数千トン級の成形機を持つ企業も多いですが、2色成形となると800トン級を保有する企業は稀です。

当社は800トン級の2色成形機を筆頭に、大型2色成形専用機を20台以上保有しています。そのため、1000mm級の大型2色成形加工部品にも、形状によっては対応可能です。長年の実績で培ったノウハウを活かし、大型部品でも高品質・低コスト・短納期を実現いたします。

精密小型部品の2色成形について

大型2色成形の対応範囲について

角一化成が提案する、2色成形の独自性~成形プロによるQCD改善のVA・VE提案~

2色成形は、自動車業界をはじめ、プラスチック製品の量産を手掛ける市場においては、数多く採用されています。当社でもこれまで数多くの2色成形を手掛けており、採用実績は多数ございます。

その中で、当社が2色成形という技術カテゴリーの中でも独自の強みとしているのが、樹脂・プラスチック素材への豊富な知見と、成形実績です。

当社の提案としては、
①従来、成形+組立で製造していたプラスチック製品を一体化することでコストダウンを図る提案
ならびに、
②2色成形への工法見直し時に行う、素材・形状変更による機能性向上・品質の安定を生むVA・VE提案
があります。

そこで当社では、お客様のご要望を丁寧にヒアリングし、QCD向上に貢献できるよう、様々な角度から最適なご提案をさせていただきます。

「2色成形加工を採用したいが、材料の融着が不安」「形状的に難しい部分の成形性を事前に確認したい」といったご要望にも、柔軟に対応いたします。 当社保有の試作型「デザインプレート」を活用することで、本型を起こす前にプレート形状で融着性や形状をご確認いただけます。お客様の期待を上回る製品を提供することに情熱を注いでいます。

デザインプレートについてはこちら

2色成形品の金型設計~射出成形、組立・検査まで一貫対応

大型2色成形.comでは、金型設計・製造から射出成形、そしてアッセンブリまでを一貫して承っております。

当社の強みは、金型設計時に実施する流動解析です。ゲート位置解析、ヒケ変位解析、冷却解析、反り変形解析、繊維配向解析など、多角的な解析を通して成形時に起こりうる不良リスクを事前に予測。金型設計の段階で対策を施したり、製品形状を修正したりすることで、不良品の発生を未然に防ぎます。

さらに、社内でのアッセンブリまでの一貫体制により、リードタイムの短縮を実現。全体工程を俯瞰した設計内容の見直しやご提案も柔軟に行うことが可能です。

製品事例紹介

ファンボス

ファンボス

本製品はエアコンの室外機の軸受け部に使用されるファンボスです。
外径にガラス入りのナイロン、内部にエラストマーを使用した2色成形加工品です。
エアコンの室外機は常に雨や風などの厳しい外部環境に晒されるため、
耐久性が高く、長寿命の製品が実現出来る素材を選定しました。

マットボックス

本製品は、自動車の小物置スペースに使用される部品です。車内でスマートフォンや小物を置くスペースとして利用されるため、滑りにくく、安定して物を保持できることが求められます。

この製品では、取り付け部に剛性のあるPP(ポリプロピレン)を採用し、しっかりと固定できる構造にしています。一方、表層部分にはTPO(熱可塑性オレフィン)を使用し、柔らかい触感を持たせるとともに、シボ加工を施すことで滑り止め効果を向上させています。これにより、スマートフォンや小物が置かれた際の安定性が高まり、走行時の振動によるズレを防ぐことができます。

まとめ

大型2色成形. comを運営する角一化成株式会社では製品の開発段階からご要望にお応えいたします。お客様のご要望を丁寧にヒアリングし、QCD向上に貢献できるよう、材料提案、工法転換、形状変更など、様々な角度から最適なご提案をさせていただきます。

2色成形を用いた製品製造のお悩みがございましたらお気軽にご相談ください。

最新の技術情報