技術情報
2色成形の「見切り」による金型構造の工夫
- 金型
2色成形の金型に「見切り」を付ける理由
2色成形において、2次材が1次材と2次材の境界線(面)から漏れることが考えられます。これを防ぐための工夫を「見切り」と呼び、その方法には2種類あり
- 食い切り:1次材と金型面の勾配面で、「漏れ」防止する形状
- 押し切り:1次材と金型型締め垂直面で「漏れ」防止する形状
と当社では表現しています。
食い切りとは
型開き方向と垂直方向に立ち壁状の金型構造が噛み合い、合わさる事を食い切りと言います。2色成形の場合ですと、1次材の形状に対して2次材の形状の合わさり具合によって1次材と2次材との境界を決めることが難しくなってしまいます。
プラスチックは溶融した材料を金型に注入し金型内の製品形状に冷却固化され収縮します。このプラスチックは温度や圧力の変化に伴い、体積が膨張・収縮する特性を持ちます。収縮した製品形状の上に2次材を注入するわけですが、収縮が大きい場合ですと1次材と2次材の境界線(面)から2次材が狙いのラインからはみ出し(漏れ)てしまいます。2色成形ではこのはみ出しを制御する為に食い切りや押し切りと言った金型で抑え込む構造を設計していく必要があります。

押し切りとは
1次成形後、1次材の収縮により、2次材が1次材側に漏れることがあります。
これを回避するために、「1次材」と「2次材」の間に「押し切り」部位の設置が必要になります。押し切りとしては、幅2.0mm × 深さ0.5mmが望ましいです。1次材の収縮防止として、裏面にリブを設置し、収縮止めを図ることがあります。


押し切りの一種で、2色成形において、2次材で1次材を覆いかぶさっている形状の事をここでは「被せ」と表現しています。
乗せ(段違い)とは
乗せ(段違い)とは2色成形において、図のような形状の事をいう。積層形状において、1次材と2次材で金型抜きテーパーを反対に設定が必要になります。

乗せ(段違い)とは2色成形において、図のような形状の事をいう。積層形状において、1次材と2次材で金型抜きテーパーを反対に設定が必要になります。
2色成形の形状の見切り例
具体的な製品形状の見切り例を図に示しています。

大型2色成形.comの2色成形の特徴とは
50mm角程度の小型部品~500mm角の大型部品や1,000mmの長尺部品まで幅広く対応
当社は、50mm角程度の小型部品から、500mm角の大型部品や1,000mmの長尺部品まで幅広く対応できます。特に、小型精密機械の部品などで必要とされる±0.03~0.05mmの寸法精度や、1000分台での精度要求にも応えられる技術力を備えています。
複雑な形状や高い寸法精度が求められる部品でも、2色成形技術で安定した品質を提供できる点が強みです。さらに、異なる素材の特性を活かした一体成形により、信頼性の高い小型部品が必要な医療機器、精密機械・電子機器分野のニーズにも対応します。
また、500mm角の大型部品や1,000mmの長尺部品の2色成形にも対応しており、豊富な実績がございます。
大型部品の樹脂成形には、製品サイズに応じた高い型締め力を持つ成形機が不可欠です。単色成形では数千トン級の成形機を持つ企業も多いですが、2色成形となると800トン級を保有する企業は稀です。
当社は800トン級の2色成形機を筆頭に、大型2色成形専用機を20台以上保有しています。そのため、1000mm級の大型2色成形加工部品にも、形状によっては対応可能です。長年の実績で培ったノウハウを活かし、大型部品でも高品質・低コスト・短納期を実現いたします。
2色成形加工のプロによるQCDを向上させる設計・開発提案
世の中には数万種類もの樹脂が存在し、用途や環境に最適なものを選ぶのは至難の業です。
そこで当社では、お客様のご要望を丁寧にヒアリングし、QCD向上に貢献できるよう、材料提案、工法転換、形状変更など、様々な角度から最適なご提案をさせていただきます。
「2色成形加工を採用したいが、材料の融着が不安」「形状的に難しい部分の成形性を事前に確認したい」といったご要望にも、柔軟に対応いたします。 当社保有の試作型「デザインプレート」を活用することで、本型を起こす前にプレート形状で融着性や形状をご確認いただけます。
私たちは、ただ依頼通りに製品を製造するのではなく、お客様の期待を上回る製品を提供することに情熱を注いでいます。
デザインプレートについてはこちら
2色成形品の金型設計~射出成形、組立・検査まで一貫対応
大型2色成形.comでは、金型設計・製造から射出成形、そしてアッセンブリまでを一貫して承っております。
当社の強みは、金型設計時に実施する流動解析です。ゲート位置解析、ヒケ変位解析、冷却解析、反り変形解析、繊維配向解析など、多角的な解析を通して成形時に起こりうる不良リスクを事前に予測。金型設計の段階で対策を施したり、製品形状を修正したりすることで、不良品の発生を未然に防ぎます。
さらに、社内でのアッセンブリまでの一貫体制により、リードタイムの短縮を実現。全体工程を俯瞰した設計内容の見直しやご提案も柔軟に行うことが可能です。
まとめ
2色成形では「見切り」をはじめ製品の形状に合わせて金型構造の工夫が必要です。
当社ではお客様のご希望の形状が実現できるように金型構造の検討と、その構造で実現ができる検証を当社の流動解析のソリューションでご提案しております。
他社様ではご対応不可とされた製品についても当社では実現して参りました実績もございますので、他社様に1度お断りされた事例もぜひ1度当社にご相談ください。
お問い合わせはこちら
最新の技術情報
-
プラスチック・樹脂製品の組立コストを削減する「工法転換」のポイント
プラスチック製品のコストダウンについて プラスチック製品のコストダウンにはいくつかの手法があり、適切な手法を取り入れることは最終製品の商品力(=価格競争力)に大…詳しく見る
-
医療業界向け!2色成形活用のメリットとは?
2色成形とは、異なるプラスチックやエラストマーを一度に成形し一体化する技術で、デザイン性や機能性を付与し、コスト削減にも寄与する工法です。医療業界においても様々な場面で用いられている加工技術です。本記事では、医療業界向けの2色成形活用のメリットをご紹介いたします。…詳しく見る
-
剥離しない2色成形のポイント
2色成形の剥離防止には材料の相性が重要です。材料の組み合わせの他、鍵となるポイントについても解説します。…詳しく見る
-
精密小型部品の2色成形
当社の2色成形技術は、大型から小型までの幅広い成形ニーズに対応可能です。小型精密機械の部品など高い寸法精度が求められる部品でも、安定した品質を提供いたします。…詳しく見る
-
サンドイッチ成形を活用した環境対応
サンドイッチ成形を活用した環境対策についてご紹介します。2色成形を応用し、リサイクル材を使用することで、環境に配慮した製品づくりが可能になります。…詳しく見る
-
バイオプラスチックを活用した2色成形
2色成形を用いた環境対策についてご紹介いたします。バイオプラスチックの弱点である強度や外観の課題を低減することが可能になります。…詳しく見る